RED PADDLE 12’0″ VOYAGER

Red Paddle Inflatable Board

今回は、昨年からVoyagerの仲間に加わった12’0″ Voyagerのご紹介です。

また、他のVoyager2タイプとの比較、他の比較対象となるツーリングボードとの比較解説などもして行きます。

「体重の軽い人、小柄な人向け」だけど、実はそれだけにとどまらない

12’0″ Voyagerのスペックは12’0″ x 28″ x 4.7″ 285Lです。

下の写真を見るとそれ程細くは見えませんが、斜め後ろから撮った写真であまり細く見えない理由は、しっかりと幅のあるスクエアテイルだからだと思います。

しかし、数字を見れば完全なレース艇以外のインフレータブルボードしてはかなり幅の狭い細長いボードであることがわかりますが、実物を見るともっと細くシャープな印象を抱くボードです。

Voyagerには他に2サイズありますが、12’6″ Voyagerと比較すると実に10cm強幅が狭く、13’2″ Voyagerと比べても5cm程狭いのですが、それだけではなく、厚みも薄く(12’6″と13’2″は厚みが5.9″なのに対し、12’0″は4.7″なので3cm程薄い)、その分他の2サイズと比較して12’0″はボリュームがかなり小さくなっています。

12’0″ Voyagerは、RED PADDLEのウェブサイトにA game-changer for shorter, lighter tourers, と書かれている通り、基本的には体重の軽い人、小柄な人向けのツーリングボードといった位置付けです。

しかし、この文章はその後に it’s also an appealing option for advanced mid-to-heavyweights seeking a faster, more responsive, yet comfortable board. と続いています。

「速くて反応が良くて快適なボードを探し求めている体重が重めの上級者にも魅力的なボードである」といったような意味です。

ある程度経験のある体重の軽い人に最適なツーリングボードであろうことは容易に想像がついていたのですが、この条件に当てはまる人と需要に巡り合うことがなかったため、実は12’0″ Voyagerを当店ではこれまで1本も販売した実績がありませんでした。

そして、私は13’2″は名前がExplorerだった頃から歴代のモデル全て愛用してきたものの、12’0″にはこれまで乗ってみる機会もなかったのですが、先程のRED PADDLEのウェブサイトに書かれている文章の後半部分を読むと、80kgオーバーの体重重めの私が乗った場合はどうなのか非常に興味はありました

そんな折、初の12’0″ Voyagerのご注文をいただきまして、納品ついでに、図々しくもお買い上げいただいたボードに私も試乗させてもらえる機会に恵まれました。

ご購入いただいた方は身長はあるけど体重が軽め(60kg代前半)の体格の男性で、既に11’0″ Sportや10’6″ Rideをお持ちの方です。

こちらから薦めたのではなく、ご自身で選ばれたのですが、全く想定に合ったユーザーなので、良い選択と思いました。

乗られてみて、まずはパドリングタッチの軽さ、一漕ぎで軽くスーッと進むことに感動されていました。

そして、幅の広いボードと比較すると若干の不安感はある(慣れの問題程度だと思います)ものの、直進性が良くてスピードが速いだけでなく、操作もしやすく大変快適との感想で、見ていても危うげな印象は全くありませんでした。

やはり、体重が軽めの人に大変快適なツーリングボードであることは間違いなかったようです。

では、体重が重めの私が乗ったら果たしてどうなのか?

荷物が多い場合は、私の体格だったら13’2″の方が合っていることは当然です。

しかし、空荷状態で乗ってみたところ、コントロールしやすく、速くて本当に快適で、Sportよりむしろスポーティーな印象でした。

正直に言ってしまうと私の体格にとってこんなに良いとは思っていなかったのですが、あまりの心地良さに自分もこのボードを真剣に欲しくなってしまったほど(ボードがあまり多くなると使い分けに悩んでしまいますが)です。

空荷で非常に快適だったので、荷物を積んでパドリングをしてみたくもなりました。

初心者や初めてのボードとしてお薦めするようなボードではないと思いますが、体重が軽め(70kg未満)で、既に他のボードを持っていてある程度の経験のある人にとっては、本当に快適なボードだと思います。

そして、体重が重めでも十分な経験のある人なら、大変心地良く軽快にパドリングを楽しめるボードとしてお薦めできると感じました。

結局、RED PADDLEのウェブサイトに書かれている通りだったということです。

Voyager 3タイプの違いについてもう少し詳しく

Voyagerの3タイプのスペックを比較したのが下の表です。

長さ厚み容積
12’0″12’0″28″ (711mm)4.7″ (120mm)285L
12’6″12’6″32″ (813mm)5.9″ (150mm)361L
13’2″13’2″30″ (762mm)5.9″ (150mm)347L

フィンはどれも同じUSボックスのツインフィンですが、12’6″のみがテイルがラウンド〜ラウンドピン的な形状であるのに対し、12’0″と13’2″はスクエアテイルで、スピードテイル(水切りを良くするゴムのエッジ)も付加されています。

そして、2021年からVoyagerはノーズのボトム形状がVの字型(V-Hull)になりました。歴代の13’2″ Voyager(Explorerも含め)に乗ってみての感想ですが、V-Hullの効果はかなり大きいと感じています。

スクエアテイル・スピードテイル・ツインフィンの効果・効能については後述します。

実は幅が一番広くボリュームが最も大きいのは一番長い13’2″ではなく、真ん中の長さの12’6″です。基本的にVoyagerの中では12’6″が最も安定感が高いことになります。

13’2″はハイスピードで大量に荷物を積めるエクスペディション向け12’6″は13’2″より扱いやすい万人向けといったような位置付けになると思います。

そして、12’0″は13’2″のボリュームを落としたバージョンで、どちらかと言えば、3つの中では12’6″が少々毛色の異なる存在であり、13’2″12’0″が実の姉妹、12’6″はこの姉妹の従姉妹のような関係のように思います。

他のモデルとの比較

Voyagerの中では当然12’0″が最もボリュームが小さく、12’6″と比較すると76Lも少ないことになりますが、12’0″ Voyagerの浮力は相対的に見て決して小さいわけではありません。

例えば、最もスタンダードで初めてのボードとしても最適な10’6″ RIDEのボリュームは245Lなので、12’0″ Voyagerは10’6″ RIDEより40Lもボリュームが大きいことになります。

また、比較対象となりそうな他のツーリングボードとスペックを比較したのが下の表です。

長さ厚み容積
Compact 11’0″11’0″32″ (813mm)4.7″ (120mm)259L
Compact 12’0″12’0″32″ (813mm)4.7″ (150mm)302L
Sport 11’0″11’0″30″ (762mm)4.7″ (150mm)234L
Sport 12’6″12’6″30″ (762mm)5.9″ (150mm)330L
Voyager 12’0″12’0″28″ (711mm)4.7″ (120mm)285L

ボリュームの比較では、12’0″ Voyagerがこの中でちょうど中間に位置しています。

安定性は別として、大抵の人にとっては十分な浮力があるということです。

そして、荷物固定のためにロープやバンジーコードを通すDリングが後ろのデッキにも付いているのは、この中では12’0″ Voyagerと12’0″ Cmpactのみ(他は前のデッキのみ)です。

多くの荷物を積んでのツーリングも想定して作られているということです。

そして、この中で一番回転性が良いのはCompact 11’0″だと感じていますが、12’0″ Voyagerはレスポンスが良くて直進性が高い割に回しやすく、総合的に私が最もスポーティーと感じるのは12’0″ Voyagerで(感覚には個人差もありますが)、先程も書きましたが、Sportよりむしろスポーティーな印象を抱いています。

スクエアテイル・スピードテイル・ツインフィン・RSSバテン

横幅と厚みと浮力についての基本条件

ボードは「幅は広くて浮力が大きい方が安定性が高い」のは基本的な法則です。そして、厚みは厚い方がボードの剛性が高くなり、当然同じ形(長さと幅とアウトライン)なら厚みは厚い方がボリュームが大きくなるので浮力も増します。

SUPの経験が浅い人は、幅が広くボリュームのあるボードの方が圧倒的な安心感を感じると思います。そして、インフレータブルボードの方がリジッドのボードより幅が広い傾向があるというか、なんとなくそれが常識のようにもなっています。

しかし、厚みが厚くて浮きすぎていると風の影響を受けやすくなります。また、それだけではなく、腰高のような感じになるため、状況によってはかえって不安定に感じるようなことも起こり得ます。

横幅は広い方が平水面では絶対的に安定性が高いことにはなりますが、横波を受けた際に何も対処しなければ、横幅が広い方が横揺れの振幅が大きくなってしまうとも言えます。

また、リジッドのボードは横揺れした際に適度にレールが沈んで水面の荒れを受け流すような感じになるの対し、インフレータブルボードは基本的に全体が同じ厚みであるため、左右の端から端まで同じ浮力があり、逆に細かな波も全て拾ってしまい、揺れを大きく感じてしまうようなこともあります。

これも慣れというかバランスの取り方のコツのようなもので対処できるのですが、リジッドのボードにしか乗り慣れていない人がインフレータブルボードに乗った際に違和感を感じるのは、こんなところに原因があるのではないかと思います。

状況次第では、最大幅が広いことやとにかく浮力が高いことが絶対的に有利になるとは限らないのです。

最大幅が狭くても安定性が落ちない理由

ボードが長くなれば剛性が落ちるので、他のメーカーの長いボードは大抵厚みを6″(RED PADDLEの場合は5.9″)にすることで剛性を高めています。

12’0″はボードとして長い部類に入りますが、RED PADDLEは空気圧が高いことや補強の追加に加え、RSSバテンを入れることでボードの中心付近の剛性を絶対的に高め、12’0″ Voyagerと12’0″ Compactは厚みを4.7″ に抑えています

これによって厚みが6″のボードより風の影響をずっと受けにくくなっていますが、仮に同じアウトラインで幅が28″で厚みが6″だったとしたら腰高になり、厚みが4.7″のボードより安定感はずっと低くなってしまうと思います。

体重が重めの私が幅の狭めな12’0″ Voyagerを乗りやすいと感じた理由は、初期安定に頼るのではなく、幅が狭いことで逆にバランスを自分でコントロールしやすくなっているからなのですが、3cmの厚みの薄さが、コントロールのしやすさの違いに大きく影響していることも間違いないと思います。

また、12’0″ Voyagerは幅が広めのスクエアテイルでツインフィンですが、この組み合わせが最大幅が狭めでも安定性を高めることに大きく貢献していることも間違いないと思います。

スピードテイルは安定性には大きな影響はなく、V-Hull程には違いを感じにくいと思いますが、最新の13’2″ Voyagerとスピードテイルのなかった頃のボードと同時に乗り比べた際には、やはり体感はありました

そして、スピードテイルターンをする際などの反応の良さにも影響しているように思います。

細い12’0″ Voyagerの場合は、よりその違いが顕著に表れるのではないか(スピードテイルではない12’0″ Voyagerは存在しないので比べようがありませんが)とも思います。

お得なキャンペーン開催中

以前別の投稿でも書いていますが、2022年モデルのVoyager(3モデル全て)はなんと約¥68,000相当のアクセサリー類が付属してお値段据え置きのキャンペーンを開催中です。

この写真では袋に入っていて内容がわかりませんが、このボードの上に乗っている5品全てが付属します。

プレゼントの品は売れ残り品を押し込んだような内容ではなく、どれも大いに役立つ物ばかりなので、大変お得なキャンペーンだと思います。

キャンペーンの内容について詳しくはこちらのページをご覧ください。

今年は10月も気温が高そうな予報が出ていますが、猛暑の季節は終わり、まだまだ海水温はあまり下がらないので、これからツーリングに最適なシーズンを迎えます。

この機会にVoygerをいかがでしょうか?

お問い合わせのメールお待ちしております。

網ですくいたくなるような小魚の群れもいますが、水温が高いので、内房の海にはソラスズメダイやちっこいシマシマ達も沢山泳いでいます。真夏より人出も減り始め、良い季節になってきました。

YouTubeビデオ

その後随分時間が経ってしまいましたが、動画も作ったので追加しました(9月14日)。

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