IMAGINE CROSSOVER 12’0″ -#1-

Imagine

7月の頭に自分用に発注していたボードが届きました。

今年から輸入が再開されることになったIMAGINEのCrossover 12’0″です。

長さは12ftと長く、一見ツーリングボードっぽいのですが、ツーリング専用といった感じではなく、かと言って所謂オールランドと称されるタイプとも違った雰囲気が漂うボードです。

今回は、まずはこういったボードに乗ろうと思った経緯、そしてCrosssoverがどんなボードなのかといったことなどを紹介したいと思います。

原点回帰とも違う

私は、元々普通のロングボードでサーフィンを楽しみ、仕事でもあるカヤックで海上の旅を楽しんでいたのですが、実は、SUPが一般的になるずっと以前の90年代後半頃に、波があったらサーフィン(シーカヤックでのサーフィンのようなことではなくて、ボードのサーフィンに近いサーフィン)ができて、波がなければそのままツーリングを楽しめるような乗り物(基本的にはカヤックと考えていました)が欲しいなどと夢を見ていたことがありました。

しかし、そんな話をしても周囲のカヤック関係者達は誰も興味を示さなかったどころか、「そんな物を作っても売れない」と鼻で笑ったカヤックメーカー(FRP製品の製造業者)までいました。

それから少しして、やる人も減ってしまい当時は全く一般的ではなかったSUPに、レイアード・ハミルトンが超大波でのサーフィンに備えて体幹を鍛えるために乗り始めたことでSUPが再注目されるようになった(諸説ありますが、それが現代のSUPの始まりだと思います)わけですが、「それって私が欲しいと思っていた乗り物の立って乗るバージョンじゃない?」と思ったのが、私がSUPに興味を抱くようになったきっかけです。

しかし、サーフィンとカヤックの両方をやっていたが故に、逆にすぐにSUPに飛びつく気にもならなかったのですが、その辺りの話は本題から逸れるので今回は割愛します。

ともかく「1本のボードでサーフィンやツーリングなど色々なことを楽しめる」が、私がSUPを始めた理由です。

そして、すぐにSUPに飛びつたわけではなかったと言っても、私がSUPを始めたのは現在のような状況になる前だったので、ボードも用途に応して特化したものなどはまだなく、基本的に全てが現在でいうオールラウンドタイプで、長さが11ftや12ftあるのは当たり前で、ようやくデイブ・パーメンターが10ftのボードを作り、10ftが「短いボード」と呼ばれていたような頃でした。

その後道具が急速に進化し、そうした進歩や時代の流れに抗う気もないし、私はシーカヤック界隈では自他共に認める「フォールディングカヤックの人」でもあったので、インフレータブルのツーリングボードが誕生してからはツーリングには主に「インフレータブルのツーリングボード」を使用するようになり、サーフィンには、「全くツーリングに使用できないわけではないけれど、あまりツーリングをしたい気分にはならないサーフィン用のハードボード」というようにボードを使い分けるようになり、パドルも用途に応じて使い分けるようになりました。

しかし、もちろん現在のように道具が用途に特化して進歩するのも良いことなのですが、「これってSUPを始めた理由からは遠ざかって行ってやしないか?」「サーフボードとカヤックの使い分けと何が違うんだ?」のようなことも近年はぼんやり考えるようになってきていました。

また、波がないだろうと思ってツーリングボードしか持って行かず、お散歩ツーリングや釣りでもしようと思っていたら意外に波があることや、その逆のようなことも度々あります。

さらには、これはこれで楽しかったのですが、ツーリングに出かけた旅先で程よいサイズのメローな波に遭遇し、インフレータブルのツーリングボードでサーフィンを楽しんだこともありました。

こんなことが重なると、尚更SUPを始めた理由や意味などを考えるようになってきたり、SUPのサーフィンに慣れてきて、パドルを使うことででかいボードをダイナミックにコントロールできるようになってきた頃の楽しさなどを思い出したりもするようになりました。

また、飛行機や船を使って遠くへツーリングに行くこともでき、ワンウェイツーリングもしやすいインフレータブルのツーリングボードは確かに便利なのですが、近所で短時間エクササイズ的にツーリングをしたい時や短時間さらっと釣りをしたいと思った時などは、わざわざそのためにボードを膨らますことが正直言って少し億劫な気がするようにもなってきました。

かといって、現在愛用しているサーフィン用のボードを少しボリュームの大きなタイプに変えても中途半端というか、ただ過去に戻ってしまうようで何か釈然とせず、何かモヤモヤとしていました。

オールラウンドボードでもないボード

ということで、10ft以上あるラウンドノーズのボードには元々慣れてはいるものの、そこに戻る気もしなかったのですが、今年から輸入が再開されたIMAGINE(以前輸入されていた時期もあったのですが、暫く正規輸入がストップしていました)の製品ラインナップを見ていたら、長さが11ftまたは12ftで、ノーズがツーリングボードのようで、テールがサーフィン用のようなボードを発見しました。

それがこのCrosssoverです。

ノーズは尖っていていてVが入り、レース・ツーリングボード系(現在の一般的なレースボードのようにボリュームのあるノーズではありませんが)の「船っぽいデザイン」です。

しかし、テールは厚みが薄く、もちろんしっかりエッジのある絞られたピンテールで、テールだけ見たらサーフィン用のSUPボードです。

また、サーフィン用のボードにも色々なテールデザインがありますが、このタイプは私の最も好みのテールデザインです。

そして、12ftは幅が少し広めの31inchなので安定性が高そうですが、私の体格には広すぎることもなく、どんな状況でも楽にパドリングできそうなことが想像できます。

ウェブサイトの写真を見ていたら、ダウンウィンドで波に乗りながらツーリングすることや、割れそうで割れない誰もいない沖合から波に乗ることを想像してしまいました。

釣り場への移動も楽でフックや魚のヒレで穴が開く心配もありません。

海のコンディションが思わしくない日が続いても、近所の湖に持って行って短時間さっとツーリングをする気にもなりそうなので、運動不足の解消にも繋がります。

これなら逆行ではなく、元の目的から外れない正当な進化です。

これが、ツーリング専用でもサーフィン専用でもないけれど、オールラウンドタイプとも呼べないような、このちょっと変わったタイプのボードを購入しようと思った理由です。

スペック

Crosssoverには長さが11ftと12ftの2種類があります。

私は体重もある(80〜85kgくらいで推移していて、1〜2kgの変動は誤差のうち)し、普段サーフィンに使用している9ft・113.1Lのボードとより明白な差を出すためにも、長い方の12ftを選びました。

  • 全長:12ft
  • 最大幅:31inch
  • ボリューム:205L
  • 重量:12.5kg
  • 全長:11ft
  • 最大幅:30inch
  • ボリューム:167L
  • 重量:11.5kg

初期のインプレッション

まだ、5〜6km程度までの短距離のツーリング数回と、先日ようやく膝波にも乗った程度しか使用していないので、今回はごく初期のインプレッションということになります。

これからまた色々違うことを感じることもあるであろうし、新たな発見もあると思います。

差し当たり現時点で感じていることを報告します。

パドリングスピード

重量が凄く軽いわけではないので、漕ぎ出しのパドリングタッチは重量の軽いインフレータブルのツーリングボードの方が軽い感じがします。

しかし、トラッキングと水切りが良いので、3漕ぎか4漕ぎ目辺りで、1漕ぎで進む距離もスピードも、同じ程度の長さのインフレータブルのツーリングボードを引き離します。

スピードに乗ると大変気持ち良くパドリングのできるボードです。

カヤック用のダブルブレードのパドルは試していませんが、体育座りでのパドリングも快適だったので、少し厚みのあるクッションでも敷けば、快適でスピードの速いシットオントップカヤック代わりにもなると思います。

安定性

インフレータブルボードは浮力が高くて安定性が高いと思われ、それも間違いではなく、確かにフラットな水面では安定性が高いと感じます。

しかし、ラフな水面ではハードボードの方が安定性が高いというか、バランスをとりやすいと感じる人が多いことも事実です。

このボードもチョッピーな海面では同じくらいの長さと幅のインフレータブルのツーリングボードより断然楽にパドリングできるように感じました。

この安定性のおかげで、どんな状況でも漕ぎやすく、平均して速いスピードを維持しやすいボードだと思います。

まだ釣りには使用していませんが、安心して釣りのできる安定性があり、荷物も多く積むことができ、先述の通りフックや魚のヒレが刺さってパンクする心配もないので、高性能な釣りの足にもなりそうです。

波乗り

まだ膝波にしか乗っていませんが、パドリングのスピードが速くて直進性が高いため、思った通りテイクオフは非常に早く楽で、ショアブレイクまで割れないような波でも楽に乗れてしまいます。

ノーズのVハルはパドルアウトする時には向かってくる波の面に突き刺さって楽に波を超えられますが、テイクオフする際にはスピードに乗っていると逆に水を切り分けて刺さってしまいにくく、早いうちから走り出してしまうので、パーリングしそうになるような感覚は一度もありませんでした(まだ膝波でしか経験していませんが)。

波に乗った後は、全長が長いのでさすがに軽く回せるような感じではありませんが、ステップバックすれば小さい波でもターンはできます。

そして、面をスーッと気持ち良く走り、最後に向きを変えてスープの上に乗り上げて真っ直ぐに降りてくる程度のことはすぐにできるようになりました。

でかいボードをコントロールする楽しみがあり、今後がさらに楽しそうです。

比較対照となった似たコンセプトのボード

実は日本でのIMAGINEの扱いが再開する前から、JPにHybridというボードがあり、これもCrosssoverとよく似たコンセプトのボードで、名付け方も似ています。

しかし、Hybridに対してはこれまで何故か進化形のオールラウンドボードのような認識しかしておらず、あまり興味を抱いていませんでした。

むしろCrosssoverを意識してからこのボードにも興味を抱くようになり、結果的にCrosssoverとどっちを選ぶか悩むことにもなりました。

最終的にCrosssoverを選んだ理由は長さと幅の組み合わせです。

Hybridには長さが10’8″と11’6″の2種類あり、10’8″は幅が31inchでボリュームが191L、11’6″は幅が32inchでボリュームが212Lです。

10’8″は私の想定している使い方に対して私の体格では少し短いと思ったので除外しました。

11’6″は十分な長さですが、Crosssoverの12’0″より15cmちょっと全長が短いのに1inch幅が広くてボリュームも7L多いことになります。

この幅とボリュームはあまり必要ないと判断し、細長いことを優先して最終的にCrosssover 12’0″に決定することになりましたした。

また、レイアード・ハミルトンと並ぶスーパーウォーターマンであり、私の最も好きなスタイルのSUPサーフィンをするデイブ・カラマがデザインしたボードであることも決め手となりました。

しかし、これは私の体格と使い方と技量に応じた判断であって、JP Hybridが良くないなどという意味では全くなく、実際私も結構悩みましたし、私と似たようなことを考えている人にとってHybridは良い選択肢となり、絶対にCrosssoverの方がお薦めということではないので、誤解のないように。

私と似たようなことを考えているのなら、この4本の中から自分の体格と技量に合ったものを選ぶのがお薦めといったような感じです。

その他に、STARBOARDのGenerationもツーリングもサーフィンも、時にはレースにもといったコンセプトで作られたボードです。

しかし、Generationは長さが12’6″と14’0″の2種類なので、サーフィンも楽しめるけれど、CrosssoverやHybridよりさらにツーリングやレースに寄ったボードになります。

主要目的がそっちに寄っているのであれば、Generationも良い選択になると思います。

久しぶりの無茶苦茶楽しいおもちゃ

体重がこれ以上重くなってバランス感覚も悪くならない限り、これからもサーフィンには絶対的なお気に入りのLAIRD STANDUP CARBON SURFER 9’0″も使い続ける予定です。

また、現在は飛行機で12ftのボード運ぶことが現実的にはハードルが高く、ワンウェイのツーリングも好きなので、red paddle(インフレータブルボード)を使い続けることも確かです。

しかし、Crosssover 12’0″はSUPを始めた頃のワクワク感を呼び戻してくれているように感じていて、久しぶりに無茶苦茶楽しいおもちゃを手に入れたような気分になっているので、しばらくはツーリングもサーフィンも釣りも、可能な限りこれ1本でこなそうとも思っています。

そんなわけで、今後はCrosssover 12’0″の使用頻度が確実に最も高くなりそうです。

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