自分に合ったred paddleのボードを選ぶヒント(2025.10.29)

red paddle Inflatable Board

先日2026年のred paddleラインナップのご紹介とプレオーダーのご案内をしましたが、28種類(2026年モデル)もある個々のボードについて細く説明すると文章が長くなりすぎてしまいますので、詳細な説明は省いていました。

しかし、種類が多くて目移りしてしまい、この中から自分に合ったボードを選ぶのは簡単なことではないと思います。

質問してもらえたら詳しい説明をできる用意はあり、そう書いてもいるのですが、実際にボードの選び方について質問を受ける機会はあまり多くありません。よく言えば謙虚、別な言い方をすれば、自分から情報を受け取ろうと能動的な行動をとるより、受動的に情報が提供されることを待つ人が多いのが日本です。昔働いていたアウトドウェアメーカーでも、アメリカの本社と日本とでは同様に事情が違うことを痛感していました。

10月27日は久しぶりに晴れましたが、ここ最近急に寒くなり、数日間曇りや冷たい雨の日が続き、すっかりインドアな人になってしまい、そんなことを考えていたところ、最新のred paddleのボード選びについて私の言いたいことを代弁してくれているような動画を見つけたので、今回はそれをご紹介したいと思います。

メーカーで作ったビデオではなくSUPboaderというYouTubeチャンネル(すでにご存知の人も多いことと思います)が制作したビデオです。メーカー自身や内側の人間が作るビデオが悪いという意味ではないのですが、第三者が作ったビデオは公平性があり客観性があって良いと思うことに加え、このビデオは大変わかりやすく解説しています。また、今回ご紹介するのはAIが翻訳してくれている日本語バージョンなので、よりわかりやすいと思いますので、是非ご覧になって参考にしてください。

ビデオを紹介する前に概要説明

今回ご紹介する動画と被るような内容もありますが、他人の作ったビデオに解説を丸投げするだけではなく、また今回ご紹介するビデオはFUTUREシリーズを紹介するビデオなので、最新のred paddleのボード選びについて私の言葉でも解説をしておきたいと思います。結構長くなってしまいましたが、red paddleのボードを選ぶ上でかなり参考になる内容になっていると思います。

自分に関係ないと思う項目は飛ばしていただいても結構ですが、斜め読みせずにじっくりお読みいただけたら幸いです。

今回このページでは写真を掲載せず、各々のボードの細かな仕様などについても説明しませんので、写真や細かな仕様はred paddleのWebサイトでご確認ください。

ADVENTUREシリーズとFUTUREシリーズについて

ADVENTUREシリーズとFUTUREシリーズの主な違いは、ADVENTUREシリーズの構造が従来からあったMSL(=Monocoque Structural Laminate:red paddle独自の耐久性と剛性に優れたモノコック構造積層技術)で、FUTUREシリーズが2025年に登場したMSL800またはMSL1000(COMPACT)であることです。MSL800・1000の方が従来のMSLよりさらに軽くなり、剛性もより高くなっています。

推奨気圧は何れも最低で15psi(最高で15psiの製品が多い中、red paddleは逆に推奨する最低の気圧が15psi)、標準の推奨気圧は18psiで同じです。

グレードの違いがあると、ADVENTUREシリーズが廉価版のように捉えられてしまうかもしれませんが、そうではありません。他社製品と比較した場合はMSLも最上級グレードになりますので、MSLのADVENTUREシリーズが廉価版なのではなく、MSL800・1000のFUTUREシリーズがより画期的に進化を遂げた特級品のような表現の方が合っていると思います。

FUTUREシリーズの弱点は価格と重量が反比例するような関係にあることです。

ADVENTUREシリーズにしか存在しない機種とFUTUREシリーズにしか存在しない機種もありますが、一部の製品では同じ形またはほぼ同じ形でADVENTURE版とFUTURE版が存在するものもあります。

自分の求めるサイズや性質のボードがどちらかにしかなければ、ADVENTUREシリーズかFUTUREシリーズかではなく、サイズや性質が自分の要求に合っているか否かで決めることをお薦めします。同じ形または似たタイプがどちらにもある場合は、おサイフとの相談というようなことになるかと思います。

COMPACTレンジとレギュラーサイズについて

COMPACTレンジではないボードが標準なので、COMPACTではないボードを指す言葉は特にないのですが、COMPACTに対してということで、ここではCOMPACT以外をレギュラーサイズと呼ぶことにします。

レギュラーサイズのiSUPを収納する際は、空気を抜いたら縦方向にぐるぐる円筒形になるように丸めるだけですが、COMPACTは横に半分に折ってから丸められるようになっています。

そのため、レギュラーサイズのボードを丸めたボードの円筒の高さ≒ボードの最大幅ですが、COMPACTの場合は円筒の高さをボードの最大幅の半分程度に収めることができます。

円筒の高さが半分程度になるのでred paddleでは半分のサイズに畳めると謳っていますが、収納バッグのサイズで比較すると、COMPACTのバッグの容量が74L、レギュラーサイズのバッグが134Lなので、体積的には半分のサイズになるのではなく、レギュラーサイズのボードのiSUPの2/3弱の体積に畳むことができるということになります。

しかし、バッグの幅や奥行きがほんの少し大きくなっただけでは使い勝手に大した影響はありませんが、バッグの高さが大きく違えば、運搬時の使い勝手に絶大な影響を及ぼすことになります。バッグの高さが半分程度になると、使い勝手で考えたら、むしろ半分以下の大きさになったようですらあります。

COMPACTはレギュラーサイズより重量が少し軽くなるという利点もありますが、この収納サイズの小ささこそが、COMPACTの1番の特徴で、最大の利点です。

弱点は、FUTUREシリーズとADVENTUREシリーズの重量と価格の関係と同様で、小さく畳めることと価格も反比例するような関係にあることです。

2026年のCOMPACTレンジには、以下の5種類があります。

  • FUTUREシリーズ(MSL1000)のCOMPACT 11’0″ x 32″ 税込価格:¥352,000
  • ADVENTUREシリーズ(MSL)のCOMPACT 11’0″ x 32″ 税込価格:¥297,000
  • ADVENTUREシリーズ(MSL)のCOMPACT 9’6″ x 32″ 税込価格:¥286,000
  • FUTUREシリーズ(MSL1000)COMPACT 9’2″ x 29″ 税込価格:¥330,000
  • ADVENTUREシリーズ(MSL)のCOMPACT 8’10” x 29″ 税込価格:¥275,500

COMPACT 11’0″はFUTUREシリーズとADVENTUREシリーズ両方にありますが、性質やタイプは全く被っています。違いは少しの重量差と少しの剛性の差と少しではない価格差です。COMPACT 11’0″は中型サイズのボードですが、オールラウンドタイプよりツーリングボード寄りなタイプです。この2種以外は各々個性が異なります。

COMPACT 9’6″は最もスタンダードなRIDEに似たタイプのCOMPACTレンジといったところです。

前述の通りCOMPACTレンジはとにかく収納サイズが小さくなって軽いことが最大の利点なので、飛行機・電車・バス・フェリーなどを使って移動することが多い人にとって、それが大変有利に働きます。

レギュラーサイズとCOMPACTレンジで似たタイプのボードがあった場合にどちらを選ぶかは、そういった使い方をする機会が多いのか、逆にそういった使い方を全く想定していないか、そんなに小さくする必要性があまりないかで決めたら良いのではないかと思います。

しかし、COMPACT 8’10” x 29″COMPACT 9’2″ x 29″に関しては少々事情が異なります

この2種はサーフィン用で、レギュラーサイズで比較対照となるボードは強いて言えばRIDE 10’2″ x 29″ですが、サイズが明らかに違います。

10フィート未満の長さのサーフィン用のボードということであれば、COMPACTかレギュラーサイズではなく、必然的にCOMPACT 8’10” x 29″かCOMPACT 9’2″ x 29″のどちらかを選択することになります。

また、COMPACTレンジは半分に折ってから丸められて移動の際の利便性が高いことが大きな特徴ですが、使わないときに長期間保管しておく際はなるべくそうはせず、可能であれば少し緩く空気を入れた状態で保管するのがベストですが、丸めておく場合はレギュラーサイズのボードと同じように半分に折らずに丸めておくことをお勧めします。

なので、保管時に小さくなるという理由でCOMPACTレンジを選ぶようなことは推奨いたしません

最初のボード・汎用性が高く長く使えるボード -選び方とお薦めのボード-

次に具体的にどれを選ぶかについての話に進みます。

ますは最初に選ぶのに良いと思うボードや汎用性が高く長く使えるボードについて説明したいと思います。

RIDE 10’6″RIDE 10’8“は「ザ・スタンダード」のようなボードで汎用性が高く、SUPの基本を学ぶのにも適した間違いのない選択です。

ECサイトなどで販売されている安いボードも形がRIDEに似ている物が多く、デザインも真似したRIDEのフェイクのような物も見かけます。

一見似て見えるので、何が違って何故こんなに価格差があるのか疑問に思う人も少なくないと思います。

顕著に差が出るのは剛性の違いと耐久性です。一見似て見えても、より高品質で高価な素材を使用し、中身の構造も違い、よりコストのかかる製造工程を経て作られているため価格にも開きができるということです。

また、安いiSUPは剛性を高めるために厚みが6インチの物が多いのですが、高い剛性を得られる作りのRIDEは、厚みを4.7インチに抑えながら安い厚み6インチのiSUPより高い剛性があります。

厚みが薄いと何が良いのかと言えば、薄い方が風の影響を受けにくく、腰高にならないので安定感も良くなり、ボードのコントロールをしやすくなることが多いことなどです。またサーフィンをする場合も、ボードの厚みが薄い方がレールを波に食わせやすくて絶対的に有利です。

安物買いの・・・のようなことになりたくなければ、最初からまずはこのレベルのボード(2026年度のRIDE 10’6″と10’8″は価格が共通で、税込価格¥143,000)を購入することをお薦めします。

また、RIDE 10’6″より長さが30cm短くなりますが、RIDE 10’6″に似たタイプで、より小さく畳めるボードを望むのなら、COMPACTレンジのCOMPACT 9’6″があります。

しかし、RIDE 10’6″や10’8″ももちろん良いのですが、個人で購入(スクールやレンタル用ではないという意味)するボードで、「最初に購入するボード・汎用性が高く長く使えるボード」をお探しなら、私はADVENTUREシリーズのSPORT 11’3″ x 32″ x 4.7″(税込価格¥198,000)、またはFUTUREシリーズのSPORT 11’3″ x 32″ x 4.7″(税込価格¥275,000)をお薦めします

どちらのSPORT 11’3もRIDEと同等の安定性があり初心者にも馴染みやすいのですが、RIDEよりスピードが速くなり直進性も増すので、より長距離を漕ぎやすくなります。しかしコントローラブルなので、RIDEより小回りが効かなくて不便などということも全くありません。

11’3″ x 32″はSPORTレンジの他のモデルより少し最高速は落ちますが十分に速く快適で、長く飽きずに使えるボードです。

また安定性が高いだけなく、大き過ぎず小さ過ぎずで対応する体重・体格の幅も広いので、家族など体格や技量の違う人で共有するのにも適しています

同じようなタイプで、畳んだ時のサイズがより小さくなり、より軽いボードが望みであれば、ADVENTUREシリーズ(MSL)のCOMPACT 11’0″ x 32″ x 4.7″(税込価格¥297,000)、またはFUTUREシリーズ(MSL1000)のCOMPACT 11’0″ x 32″ x 4.7″(税込価格¥352,000)をお薦めします。

COMPACT 11’0″はSPORT 11’3″より若干スピードは劣ると思いますが、そんなに大きな差があるわけでもありません。そして、COMPACTは重量も軽いのですが漕ぎ出しが軽く快適です。

SPORT 11’3″を選ぶかCOMPACT 11’0″を選ぶかの基準は、前の項目で述べた通りです。

ツーリングボードについて -SORT・SPORT+・VOYAGERの違いと棲み分け-

SPORTレンジには先に紹介したADVENTUREシリーズのSPORT 11’3″FUTUREシリーズのSPORT 11’3″を含め、以下の6種類が存在します。

  • ADVENTUREシリーズのSPORT 11’3″ x 32″ x 4.7″ 税込価格:¥198,000
  • FUTUREシリーズのSPORT 11’3″ x 32″ x 4.7″ 税込価格:¥275,000
  • ADVENTUREシリーズのSPORT+ 14’0″ x 28″ x 5.9″ 税込価格:¥231,000
  • FUTUREシリーズのSPORT+ 14’0″ x 28″ x 5.9″ 税込価格:¥286,000
  • FUTUREシリーズのSPORT+ 12’6″ x 28″ x 4.7″ 税込価格:¥286,000
  • FUTUREシリーズのSPORT 12’6″ x 30″ x 4.7″ 税込価格:¥286,000

これにADVENTUREシリーズのSPORT 11’3″の色違いも含めると合計7種類になります。

色々あってどれを選んだら良いのか、違いが一番わかりにくいのがSPORTレンジなのではないかと思います。

SPORT+と+の付かないSPORTとの違いは、第一にSPORTよりSPORT+の方が幅が狭いことですが、それだけでなくアウトラインもよりスピード重視になっていることです。

どちらもツーリングボードですが、SPORT+の方がスピード重視で安定性は+の付かないSPORTより落ちます。特に幅が広めの11’3″とSPORT+とでは、同じSPORTレンジに属しながら性質はかなり大きく異なります。

SPORT 11’3″は前の項目で説明した通りで、SPORTレンジなのでツーリングボードですが誰にも使いやすく、オールラウンドボードに近いタイプです。

SPORT+はより高速でのツーリングやエクササイズ的なパドリングを好む人向けで、初心者が手を出せないというほどはありませんが、ある程度経験を積んだ中級者以上向けのようなタイプです。

そして、SPORT 12’6″はSPORT 11’3″とSPORT+ 12’6″の間に入るようなボードということになります。

SPORT 12’6″は厚みが薄めで空荷でも風の影響を受けにくくデイツーリングにも使いやすいボードですが、荷物の少ない温かい季節であれば1・2泊程度のキャンプツーリングにも十分使える荷物の積載量もあり、荷物を節制すればもっと長期間のツーリングにも使える非常に汎用性の高いツーリングボードです。

また、red paddleのカテゴリー分けではVOYAGERは「TOURING」ではなく「EXPEDITION」に属しますが、EXPEDITIONも広い意味のツーリングなので、VOYAGERレンジとSPORTレンジは比較対象となります。

2026年のVOYAGERレンジには以下の3種があります。

  • FUTUREシリーズのVOYAGER 14’0″ x 30″ x 5.9″ 税込価格:¥319,000
  • ADVENTUREシリーズのVOYAGER 12’6″ x 32″ x 5.9″ 税込価格:¥242,000
  • ADVENTUREシリーズのVOYAGER 12’0″ x 28″ x 4.7″ 税込価格:¥242,000

12’6″のツーリングボードにはSPORT 12’6″とSPORT+ 12’6″とVOYAGER 12’6″の3種類あることになりますが、VOYAGER 12’6″とSPORT+ 12’6″とでは性質がかなり大きく異なります。そして、この3種類を比較した場合もSPORT 11’3″との関係とはまた少し違った意味でSPORT 12’6″が中間的な存在になります。

VOYAGERにはノーズにVハルが採用されていたり、VOYAGERはツィンフィンでSPORTシリーズはシングルフィンであったりという違いもありますが、一番大きな違いはVOYAGERは多くの荷物を積載することを基準に考えられていることです。

なので、VOYAGER 12’6″は幅が広めで32インチあり、厚みも5.9インチと厚く、ボリュームはSPORT 12’6″より83L、SPORT+ 12’6″より109L大きく、同じ12’6″のツーリングボードでもボリュームに大変大きな差があります。

そのため、空荷の場合はSPORT 12’6″やSPORT+ 12’6″より風の影響を受けやすくなってしまいます。また幅が広いことは基本的に安定性の高さに貢献しスピードには不利に働きますが、トラッキングを高め安定性も高くなるツィンフィンもスピードには若干不利な要素になります。

あまり多くの荷物を積む予定がない人や体重の軽い人にはVOYAGER 12’6″よりSPORT 12’6″やSPORT+ 12’6″の方が使いやすく、VOYAGER 12’6″は積載する荷物の多い人、具体的には2泊以上のキャンプツーリング(ベースキャンプがあってそこからツーリングに出るのではなく、キャンプ道具を全て積み込みながら移動して行くツーリング=エクスペディション的要素の強いツーリング)をする予定のある人や、体重の重い人向けのツーリングボードといったような位置付けになります。

このような違いがありますが、SPORT 12’6″とSPORT+ 12’6″はどちらもFUTUREシリーズなので高価(どちらも税込価格¥286,000)なのに対し、VOYAGER 12’6″はADVENTUREシリーズなので、装備は豪華ですがこの2つより安価(税込価格¥242,000)なことは魅力の一つになっています。

VOYAGER 14’0″とSPORT+ 14’0″はVOYAGER 14’0″の方が幅が2インチ広い30インチになりますが、厚みはどちらも5.9インチなので、12’6″のツーリングボード3種より違いが大きくありません。よりスピード重視ならSPORT+ 14’0″、より多くの荷物を積みたいならVOYAGER 14’0″といったところです。

VOYAGER 14’0″はVOYAGERレンジの中で唯一のFUTUREシリーズなので価格も14’0″のツーリングボードの中でも最も高価な税込価格は¥319,000です。

しかし、それでも装備が豪華でこんなに大きく立派なボードなのに、よりシンプルでサイズも小さなFUTUREシリーズのCOMPACT 11’0″の¥352,000よりは安価です。

VOYAGER 12’0″はVOYAGER 12’6″と価格は同じですが、VOYAGER 12’6″の6インチ短い版のような感じではありません。VOYAGERレンジなのでエクスペディション要素の強いツーリング向けに作られていますが、幅(28″)と厚み (4.7″)から察しがつくように、他のVOYAGER 12’6″より性質はむしろSPORT+ 12’6″りです。

VOYAGER 12’0″は体重の軽い人向けのエクスペディションツーリング用というのが基本的な設定ですが、より軽快なツーリングをしたい人にも向いています。SPORT+ 12’6″はFUTUREシリーズなので高価(税込価格¥286,000)で長さも6インチ違いますが、価格差(¥44,000)でVOYAGER 12’0″を選ぶのもありかと思います。

サーフィンに適したiSUP -特徴と具体的な選び方-

どんなボードでもサーフィンをできないということはありません。

しかし、どんなに頑張ってもサーフィン用に作られたハードボードにサーフィンの性能で勝るiSUPは存在しません。これは基本で、比べても意味のないことです。

また、iSUPでのサーフィンはハードボードでのサーフィンとはちょっと違った独特のコツのようなものも必要です。

しかし、かなりハイレベルなサーフィンを楽しめるiSUPもあり、それがどのサーフィン用に作られたハードボードにも負けるということでもありません。

そして、サイズが小さくて普通のハードボードは載せられない飛行機もあるため、ハードボードは飛行機で運べない場所もありますが、iSUPであれば積める飛行機の種類が増え、オーバーチャージを取られない可能性も高く、輸送中のクラッシュの心配もないなどといった利点があります。

また、中積みだけでなく屋根にハードボードを載せられないクルマもありますが、iSUPなら中に積むこともできないクルマの方が少ないくらいで、徒歩でしかアクセスできないような場所へ持って行ってサーフィンをする際にもハードボードよりずっと容易です。

このようにサーフィン用として考えた場合にもiSUPには多くの利点があり、iSUPでしかできないことも多々あります。

日頃から慣れておけば、サーフィン用のiSUPはサーフトリップに最強の相棒になります。

そして、基本的にハードボードよりサーフィン用としての性能的には不利なことも多いiSUPで自在に波に乗れたら楽しさは増し、それに挑戦するのも楽しみとなり、慣れてくるとハードボードでのサーフィンとはまた違った楽しさを発見することもあります。

では、サーフィンに向いているiSUPの特徴をまずは説明します。

厚みは薄い方が波にレールを食わせやすいので、薄い方が良いのですが、剛性が高いことも大変重要です。

iSUPは構造上厚みが全体で均等になりますが、テールの厚みを薄くできないiSUPの場合は、テールの幅が広いより絞り込んである方が波に乗っている際にコントローラブルになります。特にトップターンではそれが顕著に現れます。

2025年度まで存在していたCOMPACT 12’0″は、COMPACT 9’6や11’0″よりテールの絞られたアウトラインだったため、シリーズの中で一番長かったのに、むしろ9’6や11’0″よりサーフィンを快適に楽しむことができていました。COMPACTシリーズの中でスピードも一番速く荷物も一番多く積むことができて、サーフィンも楽しめたCOMPACT 12’0″が2026年の製品ラインナップから消えてしまったことは非常に残念です。

また、iSUPはテールの厚みがあるため、ターン時のフィンの役割が大きいというか、フィンに頼る割合が高くなるといったような感じになるのですが、レールに近いところにフィンが配置されている方が有利になる傾向があります。

COMPACTはセンターにフィンが付けることができないためツィンフィンとなっているので偶然と言えば偶然なのですが、レールの近くにフィンがあるのでサーフィンに好都合にもなっています。

では、現行のred paddleで最もサーフィンに向いているボードを具体的に挙げると以下の3種になります。

  • ADVENTUREシリーズのCOMPACT 8’10” x 29″ x 3.9″ 税込価格:¥275,000
  • FUTUREシリーズのCOMPACT 9’2″ x 29″ x 3.9″ 税込価格:¥330,000
  • ADVENTUREシリーズのRIDE 10’2″ x 29″ x 3.9″ 税込価格:¥192,500

各々長さが違い、COMPACTとRIDEという違いもあり、COMPACT 9’2″のみFUTUREシリーズという違いもありますが、どれも幅は29インと狭めで、厚みは3.9インチと最も薄く、RSSバテンが入り剛性が高く、比較的どれもテールが絞り込まれたアウトラインであることなどが共通しています。

COMPACT 8’10”COMPACT9’2″はどちらもサーフィン用として作られたボードですが、RIDE 10’2″は基本的に比較的体重の軽い人向けのオールラウンドボードという位置付けです。しかし、RIDE 10’6″や10’8″より厚みが薄く、RSSバテンも入り、テールの形状もRIDE 10’6″や10’8″よりずっと絞られているので、体重が重めの人向けのサーフィン用としても想定されています

フィンはどれもツィンフィンですが、RIDE 10’2″のみ固定式で、COMPACTは取り外しのできるクリックフィンです。

COMPACTに付属するクリックフィンはRIDEの固定式のフィンより硬いのですが、フィンボックスがFCS準拠であるため、COMPACT 8’10″とCOMPACT 9’2″はFCS準拠のフィンであれば付け替えることも可能です。そのため、より硬いフィンやサイズや形状の違うフィンなどに付け替えられる自由度もあります。

COMPACT 8’10″とCOMPACT 9’2″には私もまだ乗ったことがないのですが、COMPACT 8’10″は以前あった後期型(途中でアウトラインの変更があり、ノーズの幅が少し狭くなりました)のWHIP 8’10″とボードの形状自体は基本的に同じようです。WHIP 8’10″はシングルフィンだった(初期は小さい固定式の小さいサイドフィンが付いていた時期もありました)ので、ツィンフィンになってどう変わったのか(おそらく良くなっている)大変興味があり、硬いキールフィンを付けたらどうなのかなどにも非常に興味が湧いています。

ツィンフィンがiSUPでのサーフィンに有効なことはRIDE 10’2″の前身のRIDE 10’0で私は実感していますが、RIDEの固定式のフィンは少々柔らかめで、パワーがある波やスピードが出ている時には少し頼りなく感じることもありました。

せっかくならRIDE 10’2″にもCOMPACTと同じフィンボックスを付けて、フィンの交換ができたら良いのにと思うので、そこがRIDE 10’2″の惜しい点です。

RIDE 10’2″はRIDEシリーズの他のボードと同様フロントデッキには荷物固定用の6箇所のDリングとバンジーコードも備わっているため、ロングツーリング向きとまでは言えませんが、食料や釣り道具、シュノーケリングの道具などを積んだツーリングがしやすくなっているといった汎用性の高さも備わっています。サーフィンも楽しめて汎用性の高さも望むのであれば、体格に関わらず現行品であればRIDE 10’2″が最適なボードなのではないかと思います。

しかし、RIDE 10’2″はこの中で最も汎用性が高くて無難ですが、よりハイレベルなサーフィンをすることを望むなら、COMPACT 8’10″またはCOMPACT 9’2″の方がより良いのではないかと思います。

また、COMPACTは収納サイズが小さくなるので、アドベンチャー的な使い方にもより好都合です。

COMPACT 8’10″と9’2″のどちらを選ぶかについてですが、体重が80kgを超えている私もWHIP 8’10″に乗れていたので、余程体重のある人でなければどちらでも浮力が足りなくて全く乗れないということはないと思います。しかし、一般的には体重が75kgを超える辺りからCOMPACT 9’2″かRIDE 10’2″を選んだ方が無難だと思います。

しかし逆に、体重75kg以下ではCOMPACT 9’2″が大きすぎてしまうというようなことはないので、よりロングボードらしいスタイルを好む人やロングボードらしいライディングをしたいのであれば体重の軽い人がCOMPACT 9’2″を選んでも問題ありません。

COMPACT 8’10″とCOMPACT 9’2″はサーフィン用に特化して作られている(全くツーリングには使えないわけではなく、実際はショートツーリングにも使えるのですが)ため、荷物固定用のDリングなどの装備は全くありません。

同じくDリングの付いていなかったWHIP 8’10″(ノーズの幅が後期型より広く、デッキパッドの面積も少し小さかった初期型)にシュノーケリングの道具や水筒や軽食などを固定するためにDリングを4個私は自分で取り付け、10km未満程度のデイツーリングに使うこともありました。やはりDリングはあったほうが良いのにと思います。

COMPACT 9’2″は全面にデッキパッドが張り巡らされノーズライディングがしやすくなっているのは良いのですが、バンジーコードはオプションでも良いし、6箇所ではなく4箇所で良いのでDリングを付けてもらいたかったと思います。

「RIDE 10’2″はフィンが交換できず、COMPACT 8’10″とCOMPACT 9’2″は荷物固定用のDリングが全くない」という解決できないわけではない一長一短が残っていることに、なんともモヤモヤした気分にさせられます。

最後に価格についてですが、この3本の中でFUTUREシリーズなのはCOMPACT 9’2″だけで、COMPACT 9’2″の価格は他の2本より特に高額で、税込価格は¥330,000です。

COMPACT 8’10″はADVENTUREシリーズなのでFUTUREシリーズよりは安価ですが、COMPACTシリーズなので少し価格は高めになり税込価格は¥275,000です。

RIDE 10’2″はCOMPACTより安価ですがRIDE 10’6″や10’8″よりは高額で、税込価格は¥192,500です。

iSUPは安価な製品が出回っていることもあり、ハードボードと比較してこれらの価格が高いと考える人も多いと思いますが、iSUPを真剣に作ったら手間ががかかり高い技術力も必要になるので、型さえ作ってしまえば意外と手間も材料費もかからない場合もあるハードボードより高くなってしまうことがあるのも案外納得できることではないかと思います。

そして、他ではできない経験をすることができるのなら、¥330,000も決して高くないのではないでしょうか

その他のボードについて

レースボード・リバー用ボード・特殊な用途用のボードなどについては今回解説しませんでした。これについては個別にお問い合わせください

SUPboaderチャンネルのFUTUREシリーズの解説ビデオ

この他にもSUPboaderのチャンネルにはわかりやすく参考になるビデオが多々あります。

また、iSUPでまともにサーフィンをしているビデオは多くありませんが、SUPboaderチャンネルにはサーフィン用のiSUPについて解説しているビデオもあり、iSUPでのまともなサーフィンをしているシーンのビデオが比較的多く見つかるチャンネルです。

もちろんiSUPだけでなく、ハードボード関連のビデオも多数あります。

宣伝しても私に何か利益があるわけではありませんが、参考になることが多いとてもお勧めのチャンネルです。

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