Voyager 13´2˝ は名前がExplorerだった頃から登場以来ずっと愛用していますが、おそらく最強最高峰のツーリングボードだと思います。
このボードは全体的なシルエットは誕生以来変わっていないのですが、毎年マイナーチェンジが施され、21年にはビッグマイナーチェンジと言うよりはフルモデルチェンジに近いようなV-Hullという大きな仕様変更が加わりました。そして、さらにポンプがTitan II Pumpになるという大きな変更もありました。そして、22年モデルでもさらに大きな変化が加わってます。
概要
- 長さ:13´2˝
- 厚み:5.9˝ / 150mm
- 幅:30˝ / 762mm
- 容積:347L
- 重量:13.65kg
- バッグサイズ:980mm(h) x 380mm(w) x 360mm(d)
- バッグ容積:134L
- フィン:US Box Fins(Twin Fin)
- 付属品:Click Fin x 2・ATB TRANSFORMER BOARD BAG・Titan II ポンプ・サービスキット・防水携帯電話ケース
- メーカー希望小売価格:¥264,000(税込)
デッキのDリングとストラップ
前のデッキのストラップは、21年モデルから普通のバンジーコードから平たいゴムのストラップ(スパゲティーからフェトチーネ)に変更になりましたが、22年モデルではさらに改良が加えられています。
ストラップを留めるDリングが二重になり(RED PADDLEのウェブサイトに「ツインDリングのようなシステム」と書かれています)、ストラップの長さの調整と解除がしやすくなっています。
そして3本のうちの一番手前(後)側のストラップは右側が小さいループに分かれていて、ボトルを固定しやすくなっています。これは大変便利で実用的です。
500mlのペットボトルから1LのNALGENE® ボトルまで色々挟んでみました。どれもしっかりフィットして使い心地は良さそうです。
因みにペットボトルに付けているホルダーは100均のSeriaの商品です。これを付けておくと流失防止になって安心ですが、バックルも付いていて外すのも簡単です。大変重宝するのでおすすめです。
以前はこのホルダーと同じような物がアウトドア用品のブランドから出ていて(現在もある?)それなりの値段だったのですが、現在は税込¥110で入手可能です。100均とAmazonで個人的にも大変助っていますが、反面、当店のような零細企業の通販の需要は減少するばかりです。
また、後で説明するVハルの副産物のようなことではあるのですが、VOYERGERのデッキ面のこの部分は少しコンケーブ(上の画像を見るとデッキ面が凹んでいるため、ストラップの中央付近が浮いています。)しています。そのため、積んだ荷物がより安定しやすくもなっています。
後のデッキにも片側3つずつ6ヶ所のDリングとリーシュ用のDリングが付いています。前のデッキだけでなく、後にも大量の荷物を積載可能です。
後はDリングのみで、ストラップやコードは付属しません。必要に応じてバンジーコードやロープを用意してください。
V-Hull
21年の最も大きな変更点はVハルの採用で、ノーズ部分がフラットではなくVボトムになったことです。
黒いのは名前がVOYAGERではなくEXPLORERだった頃から付いているノーズランナーフィンです。ノーズが横流れするのを防ぎ、直進性を高めます。この機能をさらに高めたのがV-Hullです。
このV-HullについてのRED PADDLEのウェブサイトの説明文を自動翻訳すると以下のようになります。
ドロップステッチのカットを巧みにテーパーすることで、ボイジャーの鼻に新しい変位V字型の船体は、水の表面張力を壊し、パドルストロークを滑空し続けます。ボードは水を簡単にスライスし、速度を上げます。これは本当のゲームチェンジャーです!
なんだか変な日本語ですが、実際そのまま日本語にするのがニュアンス的に難しく、英文のままの方が意味が伝わってくるような文章です。
「ドロップステッチのカット…」の件りは、要するにかなり高等な技術によって普通のドロップステッチに手を加え、綺麗なV字型のボトム形状を作り出しているということです。
「パドルストロークを滑空(glide)し続けます」と書かれていますが、違った表現をすれば、一漕ぎ毎にギクシャクしながら進むような感じではなく、ストロークとストロークの間も慣性で進むとでも言うのか、強弱付かずにより滑らかに進んで行くような感じといったところです。実際パドリングしてみると、特に平水面ではこれがわかりやすく体感できます。
そして、平水面では水を押し分けるような様子が見て取れ、チョッピーな水面では小波の影響を受けずに切り裂いているようなような進み方をすることが体感できます。それらが「ボードは水を簡単にスライスし、速度を上げます。」の意味するところではないかと思います。
その後に以下のように続いています。
フラットハルボードと比較して有効性と効率を向上させることが科学的に証明されたV-Hull Voyagerは、より少ない労力でより長くパドルするのに役立ちます。別のボーナス。アッパーデッキの凹面の鼻はまた、すべてのギアのためのバンジーの下により多くのスペースを作成するということです。
実際、パドリングタッチが以前より軽くなった感じがあるのですが、特に漕ぎ出しが軽くなったように感じ、旧タイプと新タイプを同時に比較したわけではないので正確ではありませんが、巡航スピードも上がったような気がします。フィーリングが明らかに変わったことが体感できていますが、この説明文によると科学的にも証明されているようでもあります。
「別のボーナス…」以下の説明は、ボトムをV時に膨らませたことによってデッキ面が少し凹んだことの恩恵を説明しているわけですが、「ギアのためのバンジーの下により多くのスペース」は少々大袈裟です。より多くのスペースが生まれると言うよりは、デッキのストラップの説明で書いたことですが、「凹んでいるおかげで荷物が安定する」の方が意味合いとして合っていると思います。
ツインフィンとスピードテイル
21年にもう一つ大きく変わった点は、USボックスのシングルフィン+両サイドのリアランナーフィンからUSボックスのツインフィンに変わったことでした。
ツーリングボードにツインフィンてあまり想像のつかないものでしたが、使ってみたら特に違和感もなく、2本に分けることでフィンの高さを低くすることができて浅い水深に有利であったり、トラッキングや安定性も高まるような感じで、意外と良いことが少なくありません。
21年からVOYAGERもRIDE(RIDEはトライフィンからツインフィン)もツインフィンに変わったのですが、これは実は怪我の功名と言うか偶然の産物的なものだったのではないかと私は想像しています。
Compactは縦方向に半分に畳む構造のため、ボードの中心にフィンを付けることができません。そのため苦肉の策的にツインフィンになったのだと思うのですが、その結果が思いの外良かったため、「ならばVOYAGERやRIDEもツインフィンにしてしまおう。」ということだったのではないかと思っているわけです。結果オーライだったから全く良いのですが。
そして、同じツインフィンでも、RIDEのフィンは固定、CompactのフィンはFCS規格のクリックフィンで、VOYAGERはUSボックスと各々システムは異なります。VOYAGERは汎用性の高いUSボックスなので、ベースの幅が合えば社外品も取り付け可能です。
但し、ボックスの溝の長さが195mm程度と長くありませんので、ベース幅が広いフィンは入らないので注意が必要です。付属のフィンもほぼギリギリで、USボックスではあるのですが、ロングボードのセンターフィンのようにフィンの位置を前後に動かせるものではありません。
付属のフィンも8インチとこの大きさのボードとしては低め(2枚あるからこそ)ですが、ベースの幅さえ合えば、川に行く時は4インチ程度のソフトフィンを付けたり、自分で削って短いフィンに作り替えたりしても良いのではないかと思います。
22年モデルに加わったもう一つの大きな変更点はスピードテイルです。
スピードテイルについてはSportのページに説明がありまして、その文章を自動翻訳すると以下のようになります。
スピードテール、この機能はスポーツ範囲全体で見つけることができます、それは強化されたスピードとニッピー操縦性を提供します。尾のゴム引きエッジは、水の放出を助け、速度を向上させます。11 ‘スポーツのなめらかな形状は簡単に水をカットし、引き出された鼻セクションはあなたに水を渡ってより多くの滑空を与えます。
またまた無茶苦茶な日本語ですが、簡単に説明するとテイル部分に固いゴムのエッジを付けることで、水の切れを良くしているといったような意味です。
スピードテイルはSportの全てのモデル( 自動翻訳の文章の「スポーツ範囲全体に…」:new feature across our Sport range offersはこれを意味しています。)に21年から採用されたのですが、22年モデルではVoyager 13´2˝ とニューモデルのVoyager 12´0˝ にも採用されています。Voyager 12´6˝ はスクエアテイルではないので、このゴムのエッジは付いていません。
21年モデルではSport 11´3˝ でスピードテイルを体験したのですが、そもそもそれまでSport 11´3˝ にはあまり乗ったことがなかったため、正直なところこれの有無の違いをしっかりと把握できてはいません。しかし、SportレンジからのフィードバックでVoyager 13´2˝ とVoyager 12´0˝ にも採用したのだと思います。これから新しいVoyager 13´2˝ を使用することでこれの効果を体感できることを期待しています。
RSSバテン
TANDEM以外の全てのVoyagerにRSSバテンが備わり(TANDEMは厚みが8インチあり、それで十分な剛性が得られることもあり、RSSバテンがありません。)ます。
RSSバテンはボードの側面に定規のようなプラスチックの板を入れて剛性を高めるRED PADDLE独自のシステムです。
たとえこれを入れなかったとしても相対的に見て剛性が非常に高いRED PADDLEのボードですが、このRSSバテンを入れることによって12ftを超えるようなボードも他の追随を許さない固さのボードに仕上がります。
このバテンは20年までは固いファイバーグラス製の板でしたが、21年からはもう少し柔軟性のあるプラスチック製に材質が変わりました。考えてみたら、前後方向にしなるのを防ぐための物なので、この向きに使う場合はそんなにこの板が固い必要はなかったわけです。
ATB TRANSFORMER BOARD BAG
Voyagerに限らず、22年モデルの大きな変更点に収納バッグの大幅なモデルチェンジがあります。
RED PADDLEの収納バッグは、これまでもずば抜けて豪華と言うか凝った作りで定評がありましたが、22年モデルではATB TRANSFORMER BOARD BAGという名称になり、大きな変貌を遂げています。
ATB TRANSFORMER BOARD BAGについてはこちらのページもご覧ください。
ATB TRANSFORMER BAGの一番大きな特徴は、バッグ本体を取り外してバッグなしでボードを背負うことができる(bag-less carry system)ことです。それがTRANSFORMERたる所以です。
下の画像の水色のドライバッグはRED ORIGINAL 60L ROLL TOP DRY BAG(価格:税込¥9,680 お取り寄せ可)です。Titan II ポンプとハーネス部分なら、この中に余裕で収まり、まだ他の荷物を入れる余裕があります。
飛行機で運ぶときや宅配便で送るときはしっかりしたバッグが必ず必要で、頼もしいホイールも付いているので楽に運搬できます。しかし、電車やバスを使ったワンウェイツーリングには立派なバッグが邪魔になってしまいます。バッグなしで背負える仕組みは大変現実的な手段となります。
まだ実践使用していませんが、状況や用途に応じて使い分けられるこのシステムはかなり理想的だと思います。
RED ORIGINAL 60L ROLL TOP DRY BAGとRED ORIGINAL DECK DRY BAG(価格:税込¥24,310 お取り寄せ可)と一緒に並べるとこんな感じです。
DECK DRY BAGのメインコンパートメントの容量は22Lあり、この二つのドライバッグだけでも相当な量の荷物を運ぶことができます。
そして、どちらのドライバッグもショルダーストラップが付けられますが、ボードを背負うときにはDECK DRY BAGをボードに括り付けてしまうこともできます。
Service Kit
サービスキット(リペアキット) は、よく見かけるプラスチックのオレンジ色の筒から、ご覧の通りもう少し高級感の漂う布のロール式に入れ物が変更になっています。
メッシュのポケットの中にはフィンのネジなど一部の予備パーツが予めセットされていますが、その他自分で必要と思う工具やパーツ類などを入れておくと良いと思います。
補修用の生地は付属しますが、接着剤は輸入の規制が厳しくなり、キットには付属しません。接着にはビニール用の接着剤が別途必要です。
Titan II Pump
21年からポンプがTitan IIに代わっています。
以前にも増して空気は入れやすくなり、作りも丈夫になっているのですが、大変合理的な2シリンダーでありながら携行性が良くなったことも大変大きなアドバンテージです。
フジタカヌーのDry Bag L
ハーネスとTitan IIポンプがRED ORIGINAL 60L ROLL TOP DRY BAGに収まると書きましたが、Titan IIのみを運ぶなら、RED ORIGINAL 60L ROLL TOP DRY BAGは大き過ぎます。フジタカヌーのDry Bag L(税込¥3,500)は、たまたまなのですが全くこれのために作ったようにピッタリな大きさです。
Titan IIとサービスキットや工具類などを入れておくのに本当にちょうど良いサイズです。バックパックやハーネスとは別にポンプを収納する際には多分このドライバッグが最高です。
Titan II Pumpについての説明はこちらのページもご覧ください。
試乗もできます
Voyager 13´2˝ は登場以来ずっと愛用し続けていますので、僭越ながらこのボードとこのボードの使い方には大変精通しています。試乗もできますので、ご興味のある方はお問い合わせください。