待ち侘びていた2023年のRED PADDLEのニューモデルRIDE 10’0″が入荷しました。
早速皆で小波サーフィンも試してみましたので、その感想などを報告します。
ディメンションとディテイル
まずはディメンションですが、長さは10フィート、最大幅29インチ、厚み3.9インチ(4インチと書かれている場合もあり)、容積180Lとなっています。
RIDE 10″6″と10’8″は厚みが4.7インチなので、スタンダードなRIDE 10’6″より厚みは2cm程度薄くなっています。
因みに容積は、RIDE 10’6″が245L、今年廃盤となってしまったRIDE 9’8″(幅31″、厚み3.9″)は193Lでした。
そして、厚みが薄いだけでなく、10’6″のテールの方が丸みがあってずんぐりしているのに対し、10’0″のテールは絞られていて、全体的にシャープな印象のシルエットとなっています。
そして、薄くなった分剛性が落ちるので、RIDE 10’0″は他のRIDEにはない特許のRSSバテンで十分な剛性を確保(RIDE 9’8″も厚み3.9インチでRSSバテン入りでした)しています。
厚みが薄いと何が良いかと言えば、まずは薄ければ重心が低くなるので安定性が増します。
そして、サーフィンをする場合はレールが入りやすくなり、コントロール性も断然良くなることが大きな違いです。
インフレータブルボードでもサーフィンをするなら、シルエットだけサーフィン向きの形で厚みのあるボードより、薄いボードの方が絶対的に有利です。
次に幅に関してですが、レースボード以外では多くのインフレータブルボードは幅が30インチ以上あるものが多く、32や34インチあるのもごく普通です。
29インチというと安定性に欠けそうですが、重心が低い(厚みが薄い)せいなのか、RIDE 10’0″に乗って最初に感じたことは予想以上の安定性の高さでした。
また、横幅が広い方が安定性が高くなると考えるのが普通ですが、水面の状況によっては幅の狭いボードの方が幅の広いボードより横揺れの振幅が小さくて、むしろ揺れを感じにくいとか揺れが小さくなるという考え方もあります。
浮力の高いインフレータブルボードの場合、状況と乗り手次第では厚くて幅のあるボードより、薄くて幅を抑えたボードの方が乗りやすく感じることもある可能性は十分ありそうです。
確証はないけど、例えばハードボードに慣れている人にとっては、幅広で厚みのあるインフレータブルボードより、こっちの方が馴染みやすいのではないかと思います。
また、一応メーカーでは体重75kg以下の人向きと謳っています(75kg以上では乗れないという意味ではありません)が、それより裕に5kg以上オーバーしていて、おまけに片足が正常ではない私が余裕を感じているので、十分高い安定性があると言えるのではないかと思います。
そして、幅が狭まくなればスピードが速くなるのは基本的な物理学的法則です。
実際、体感的に速いと感じたのがパドリングしてみた最初の印象でした。
計測したり比較したりしたわけではありませんが、オールラウンドタイプのインフレータブルボードの中では非常に速い方なのではと思います。
ツインフィン
フィンはツインフィンです。
ツインフィンは、たたみ方の都合でセンターフィンの付けられないCOMPACTに最初に採用されたのですが、RED PADDLEではそれ以降多くのモデルでツインフィンを採用するようになっています。
性能的な話ではないのですが、オンフィンの場合はトライフィンだと収納バッグの中で収まりが良くなくないのが難点(サイドかセンターのどちらかが出っ張りやすくなってしまう)というか、仕舞ったときになんとなく釈然としない気分になることもありました。
しかし、ツインフィンだとバッグの中での収まりが良く、気分的にスッキリするのは良いことです。
肝心なツインフィンの性能面についての話は後ほど。
波は小さかったのですが、サーフィンもしてみました。パドリングのスピードが速いので楽にテイクオフでき、まずは普通に波に乗れます。
YouTube動画を作ったのでご覧になってください。
ツインフィンの話に戻ると、普通にパドリングしている分にはシングルフィンやトライフィンと特に変わったものを感じることはありません。
しかし、波乗りをすると、乗ってみた全員がシングルフィンやトライフィンと同じ感覚でコントロールすることはできないといったような感想でした。
ツインフィンが良くないという意味ではなく、ハードボードとちょっと違った乗り心地や操作性で、ちょっとしたコツのようなものも必要なインフレータブルボードでのサーフィンですが、シングルフィンの8’10” WHIPやトライフィンのRIDE 9’8″(最後の22年モデルはツインフィン)ともちょっと違う感じがし、少々クセがあるというか、それがツインフィン独特の特性のようなものなのかもしれません。
私は何故かバックサイドの波に乗っているときの方がフィンがしっかり効いているような感じがして、どちらかというとバックサイドの波の方が良い感触が得られた気もしました(バックサイドの波に乗っている映像がないけど)。
また、クセや特性のようなものを掴んで、慣れてしまえばインフレータブルボードにはシングルフィンより合っているような予感もしています。
考えてみたら、私は普通のサーフボードでもツインフィンの経験がありませんでした。
早くこれに慣れて、ターンをする際の最適な足の位置なども習得し、スピードもターンも自由にコントロールできるようになりたいと思い、これから色々試行錯誤を重ねるつもりなのですが、それも非常に楽しみです。
価格
メーカー希望小売価格は税別本体価格が¥189000です。
残念ながら、正直言ってかなり値上がりしています。
しかし、RIDE 10’0″は今年のニューモデルなので2022年モデルはありませんが、その分在庫のある2022年モデルのお買い得感が増しています。
その辺りについて詳しくはこちらの投稿ページをご覧ください。またインフレータブルボードのページも割と最近更新し、最新情報となっています。併せてお読みください。
本当の兄弟は誰か?
ところで、RIDE 10’0″は名前も同じRIDEのシリーズなので、一見最もポピュラーなRIDE10’6″の長さを15cm短くした弟のような位置付けといった印象を受けるかもしれませんが、性質や対象ユーザーは結構大きく異なっているように思います。
RIDE10’6″の短い版というよりは、幅と厚み(29″と3.9″)が同じ8’10” WHIPを長くした版、或いは8’10” WHIPを楽にツーリングもできるよりマルチパーパスにしたバージョンと形容した方が合っているように思います。
しかし、RIDE 9’8″と共にその8’10” WHIPも今年廃盤になってしまいました。
どちらも私はサーフィンにもツーリングにも使えるiSUPとして重宝し、愛用していたので少し寂しい気はするのですが、個人的にはRIDE 10’0″の方がより色々な意味で合っているので、この二つが消えてしまった寂しさより、RIDE 10’0″誕生の嬉しさの方が上回ってはいます。
ところが、8’10” WHIPはほぼ同じディメンションで8’10” COMPACT(フィンはWHIPがシングルだったの対しツインフィン)が登場し、それが事実上の後継機となっているようです。
8’10” COMPACTは、より小さくたためるようになり、それが性質的にもより合理性がある感じがして良いですね。
記念撮影
ついでに私のもう一つの大のお気に入りのCOMPACT 12、それともう1本セビラーのサモアも並べて記念撮影をしてみました。
インフレータブルボードの最新モデルと最古のモデルとの記念撮影といったところです。
セビラーはダッキー(空気を入れて膨らますカヤック)の老舗メーカーです。
サモアは、コールマン(セビラーを扱っている代理店)の関係者から「こんなものができたので試しに乗ってみて欲しい」と言われ、私が初めて乗ったインフレータブルボードです。
そして、確証はありませんがサモアは日本で一番最初に販売されたインフレータブルSUPではないかと思います。
今見ると形とかはかなり荒削りな感じがします。気圧も12か13psi程度なのではっきり言って結構ブヨブヨ感はあります。
しかし、iSUPの草分け的でリスペクタブルな存在です。
そしてこの個体はなんと2010年にご購入いただいたものです!
私が知っている限りでは最高齢のiSUPです。
このボードのオーナーはRED PADDLEも含め他にもボードは数本お持ちで、最初の頃と比べたら出番はかなり減ったものものの、このボードは今でも現役で使用されています。
モノもユーザーも凄い!
ボードを販売する側の立場の私がこう言ってしまうのもなんですが、こういうのを見ると「アウトドアスポーツの真髄は道具じゃないんだよな。」といった確信が高まります。
サモア君、いつまでも達者でご活躍いただきたい!