現在私がSUPのツーリングに主に使用しているボードは、VOYAGER 13’2″とCOMPACT 12’0″の2本です。
どちらもredpaddleのインフレータブルボードです。
この2本各々については何度か書いています。
↑この辺りをご覧いただければ、更に古い記事へのリンクも貼っていますので、VOYAGER 13’2″とCOMPACT 12’0″について大方お分かりいただけると思います。
なので、今回はこの2本の共通点と逆に性質の違いや使い分けなどについてと、インフレータブルのツーリング用ボード(エクスペディション用ボード)の魅力などについて話したいと思います。
VOYAGERとCOMPACTとの付き合い
VOYAGERは、当初EXPLORERという別の名前で登場したのですが、初登場したのは確か2016年の3月頃だったと思います。
長さや幅、基本的な輪郭等は変わっていないのですが、大小いくつかの仕様変更が繰り返され、かなりの進化を遂げています。
私はそれら歴代のモデルをずっと使い続けてきましたので、VOYAGER 13’2″との付き合いはかれこれ8年になります。
COMPACTレンジが誕生したのは2019年で、最初に9’6″、翌2020年に11’0″、12’0″は2022年モデルとして登場しました。
9’6″と11’0″はVOYAGERのような長距離ツーリングやエクスペディション向けというより、どちらかと言うとライトなツーリング向けのオールラウンドタイプの位置付けでした。
しかし、COMPACT 12’0″はVOYAGERレンジのCOMPACTバージョンのような趣きがあり、長距離ツーリングやエクスペディションに対応する仕様となっています。
COMPACT 12’0″が私の元にやって来たのは確か2021年の11月の後半頃で、コロナ禍の只中だったため、あまり頻繁に遠くへは行けていませんでした。
しかし、地元の房総での使用はもちろん、奄美大島、西伊豆、那珂川、大井川などへも連れ出し、この2年半で最も使用頻度の高かったボードではないかと思います。
共通点と相違点
VOYAGER 13’2″とCOMPACT 12’0″はどちらも荷物の多くなるキャンプツーリングなど、長距離ツーリングやエクペディションに対応するボードで、それがこの2本の大きな共通点です。
どちらもフォアデッキだけでなく後部デッキにもバンジーコードやロープを固定できるDリングが付いて(後部デッキ用のバンジーコードやロープは付属しません)いますので、ボードの前後に荷物を積載することが可能です。
VOYAGER 13’2″の方がより荷物を多く積めるかもしれませんが、積載できる荷物の量でCOMPACT 12’0″が大きく引けをとるようなことはありません。
しかし、この2本を比較すると以下のような相違点があります。
- COMPACT 12’0″は重量が軽くパドリングタッチも軽く、十分なスピードも出ますが、VOYAGER 13’2″のスピードには及びません。
- COMPACT 12’0″より横幅が2inch(約5.1cm)狭いVOYAGER 13’2″は直進性が高くスピードが速いのですが、COMPACT 12’0″ほど横方向の安定性は高くなく(安定性に欠けるようなボードではありませんが)、COMPACT 12’0″より取り回しはしやすくありません。
- COMPACT 12’0″は安定性が高くリラックスして乗れるボードです。VOYAGER 13’2″ほどの直進性の高さはありませんが直進性も全く悪くはなく、操作性も良いので、色々な場面で非常に扱いやすい性質です。
- 取り回しのしやすさに関しては、14inch(36cm弱)の長さの差以上の差があります。
- VOYAGER 13’2″もこの大きさにしては全然重くはない(同クラスのサイズの大抵のリジッドのボードより軽い)のですが、非常に軽いCOMPACT 12’0″と比較してしまうと、やはりズッシリ重く感じてしまいます。
具体的な使い分け
EXPLORER 13’2″としてが登場して以降、私はVOYAGER 13’2″を近場でのツーリングから遠隔地でのキャンプツーリングまで様々なシチェーションで使ってきましたが、2016年以降、宿泊を伴うような長距離ツーリングで使うボードは、COMPACT 12’0″が登場するまではこれ一択(EXPLORERが登場する以前は、C4 Waterman・Lairdstandup・HALAなどの12’6″のインフレータブルボードを主に使用していました)になっていました。
また、COMPACT 11’0″も大変気に入っていましたが、COMPACT 11’0″はCOMPACT 12’0″のようにはVOYAGER 13’2″と性質が被らないため、COMPACT 11’0″は専ら近場や日帰りツーリングで使用し、VOYAGER 13’2″とは明確に別物として捉えていました。
しかし、上の項目の共通点で書いた通り、VOYAGER 13’2″とCOMPACT 12’0″は、どちらも荷物をたくさん積める遠距離ツーリングに使えるボードなので、具体的にどういう風に使い分けるか迷うこともあります。
半分に折ってから丸めて畳むCOMPACTのレンジは、一般的なインフレータブルボードよりずっと小さく畳めることが大きな特徴となっています。
右:COMPACT 12
また、COMPACT 12’0″は同じくらいのサイズのボードと比較すると重量が非常に軽いというのも大きな特徴です。
この軽さはパドリングタッチを軽くし、取り回しもしやすくしていますが、小さく畳めることと相まって、水面だけでなく陸や空の移動も容易にし、特に鉄道・バス・飛行機などを利用して遠くへ行く際には大変大きなアドバンテージとなっています。
右:VOYAGERなどレギュラーサイズの収納バッグ
また、COMPACT 12’0″は軽く小さくなるだけでなく、案外波乗りも楽しめてしまうボードです。
胸肩くらいまでの余程速くて掘れるような波でなければ、十分にサーフィンも楽しめるボードで、ツーリング目的で遠くへ行った際に波があった場合などに便利です。
そして、運よく実際にそんな場面に遭遇して腰〜胸のファンウェイブを堪能した経験もあります。
安定性が高くて楽チンなだけでなく操作性も良いので、川下りキャンプツーリングでも使用しました。
もちろん川には川用のボードの方が良いとは思いますが、私が急な流れのある川に行く機会は多くはないので、私にはこれで十分な感じです。
安定性の高さは釣りにも便利です。
後ろのデッキにもDリングがある(VOYAGERにもありますが、SPORTやRIDEなどにはありません)ので、ここに普通に荷物を括り付けるだけでなく、例えば釣り用にカスタマイズするなども良いのではないかと思います。
このように、COMPACT 12’0″は本当に使いやすくて万能なボードです。
しかし、ここまでCOMPACT 12’0″を褒めてしまうと、「ならツーリングボードはCOMPACT 12’0″があれば十分じゃない?」とVOYAGER 13’2″の存在意義が薄れてしまいそうな気もします。
しかし、もちろんVOYAGER 13’2″にも変え難い魅力があります。
VOYAGER 13’2″でパドリングするとやはり爽快で気持ち良く、どこまでも漕いで行きたくなるような(漕いで行けそうな)気持ちになります。
COMPACT 12’0″もスピードが全然遅いわけではなく、十分な気もするのですが、やはりVOYAGER 13’2″やVOYAGER 12’0″でのパドリングの方が一漕ぎでグワーっと進むような爽快感が味わえます。
特に[ V-Hull ]+[ Speed Tail ]+[ Twin Fin ]になったVOYAGERの現行モデルは進化が著しく、よりスピードや漕破性も高まったばかりでなく、ノーズランナーフィンとシングルフォンの組み合わせだった頃より回転性や操作性も良くなっていることが感じられ、完成度が高まっていることが窺えます。
また、COMPACT 12’0″に乗った時の気分は、どこまでも漕いで行きたくなるというより、もう少し穏やかな感じがしますが、VOYAGER 13’2″やVOYAGER 12’0″の高速性能は荷物の多い長距離ツーリングやエクスペディション用途に向いているだけでなく、実は意外にも近場のエクササイズ的なパドリングにも向いていると言えます。
リラックスするためというより、少し運動のためにパドリングをしようといったような気分の時にもCOMPACT 12’0″よりスピードの速いVOYAGER 13’2″やVOYAGER 12’0″の方が適しているからです。
しかし、インフレータブルボードに関しては、現在VOYAGER 13’2″とCOMPACT 12’0″の2本に加え、昨年登場したRIDE 10’0″も私の大のお気に入りになっています。
RIDE 10’0″は十分にサーフィンを楽しむことができ、荷物をたくさん積めるわけではない(一泊分くらいの荷物なら積載可能)のですが、快適にパドリングも楽しめるインフレータブルボードです。
私のデイリユースには全くオールマイティーなボードです。
なんだか三つ巴状態になってしまっているようで、明確な使い分けの基準もないのですが、現在インフレータブルボードはこの3本を適宜使い分けて使っています。
インフレータブルボードならではの魅力
比較的安定性が高めでツーリングにも使えるようなリジッドの14ftのレースボードも持ってはいる(レースに出る気はないけど)のですが、VOYAGER 13’2″の性能がより向上し、操作性もレースボードよりずっと良くなってしまったこともあり、ここのところ乗る機会がなくなってしまいました。
現在私がリジッドのボードを使うのは、ほぼサーフィンをするときだけ(サーフィンも半分くらいはRIDE 10’0″を使ってしまう)です。
ところで、13’2″といったら4mを少し越える長さです。
軽自動車の屋根に積める荷物の長さは理論上最大で4.08m弱ですが、これは前後に均等にはみ出した場合の最大値です。
警察に届出を出さない限り、軽自動車の屋根に14ftのボードを積んで運ぶことはできません。
車両の全長の1.2倍までの長さの荷物は届出などしなくても前後にはみ出して積むことができますが、はみ出しても良いのは前後とも車両の長さの10%ずつまでなので、たとえば全長が3.4mの車両に前には全くはみ出していなくても後ろに35cmはみ出して積んだら違法となってしまいます。
前後均等にはみ出して積むのは難しく(バランスが悪くなってしまうケースが多い)、大抵後ろに多くはみ出すことになるため、現実的には12’6″(3.8m強)のボードも合法的に軽自動車の屋根に積むことは難しいと思います。
しかし、こんなに長くて速いボードが、畳んでしまえば軽自動車の中に無理なく(コペンでもなければですが)収まってしまうと考えただけでも楽しい気分になります。
サーフィンをしに行っても波が良くないことや波がないことはあります。そんな場合に備えてクルマに積んでおく道具としてもインフレータブルのツーリングボードは最適です。
また、インフレータブルボードならも、ちろん鉄道・バス・飛行機などを利用して遠くへ持って行くこともできます。
沿岸を片道パドリングして、復路は鉄道で移動といったような使い方もできます。
畳むことができない12ft(3.66m弱)以上もあるボードは、当然ながら電車やバスで運ぶことはできません。
飛行機や船に載せられたとしても(現在はかなり難しい)、その前後の移動をどうするといった問題が残ります。
畳むことのできないボードに劣らない性能を持ちながら、荷物もたくさん積むことができ、無理なく色々な手段で運ぶことができる(フォールディングカヤックより運搬が楽)のは、高性能なインフレータブルのツーリングボードならではの大変大きな魅力です。
在庫と価格
今回メインでご紹介したCOMPACT 12’0″とVOYAGER 13’2″、VOYAGERレンジの他のサイズ、RIDE 10’0″の在庫状況と価格です。
- 中古は輸入元がデモ用に使用していた製品です。
- メーカー希望小売価格は当店の販売価格ではありません。ここから値引きがあります。
- 在庫のある2022年モデル(未使用品)はセール価格になっていますので、2023-24年モデルより値引率が大きくなります。
- セール価格になっている2022年モデルは、他にもCOMPACT PKG(5Pパドルとリーシュの付属するパッケージ)の他のサイズ、RIDEレンジのPKG(3Pパドルとリーシュの付属する大変お買い得価格のパッケージ)、ツーリングボードのSPORTレンジなどいくつかあります。
- 他のモデルの中古艇もあります。
メーカー希望小売価格(税込) | 中古デモ艇価格(税込) | |
COMPACT 12’0″ PKG 2022年モデル | ¥264,000 | ¥145,200 |
VOYAGER 13’2″ 2023-24年モデル | ¥299,200 | N/A |
VOYAGER 12’0″ 2022年モデル | ¥198,000 | ¥99,000 |
VOYAGER 12’6″ 2023-24年モデル | ¥289,300 | N/A |
VOYAGER 12’6″ 2022年モデル | ¥203,500(完売) | ¥122,100 |
RIDE 10’0″ 2023年モデル | ¥207,900(完売) | ¥124,740 |
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